よりあいの森 ~避難安全検証法による内装制限回避~

入口から施設全体を見る
玄関
共用廊下

事業概要

  • 地域密着型特別養護老人ホーム:26人
  • ショートステイ(短期入所生活介護):2人
  • 古民家カフェ

建築概要

階数 地上2階建て
地域制限 その他の地域
建築物の防・耐火上の要件 準耐火建築物
敷地面積 1,221㎡
建築面積 551㎡
延床面積 910㎡
構造種別 木造(軸組工法)
設計 株式会社風土計画一級建築士事務所
施工 山口工務店
工事工期 2014年8月~2015年3月

木造施設としての工夫

1. 被覆型の準耐火建築物

共同生活室

主要構造部を準耐火構造とすることにより、2階建て準耐火建築物を実現している。
室内に現れる柱は、木材の外側をせっこうボードで被覆し、仕上げに木のボードを貼っている。建物外周の柱も防火被覆して、壁体内に納めている。

2. 避難安全検証法による内装制限回避と近隣連携体制

施設計画についてのワークショップ風景

内装制限の適用を除外するため、第129条「避難安全検証法」に基づく避難シミュレーションを行っている。避難時における避難体制(職員の確保)を整備した上で、近隣住民に協力を要請している。近隣住民宅に火災時の緊急通報装置の設置により非常時における近隣住民との連携体制を構築した。

3. 敷地形状に合わせた施工計画

敷地全体

敷地が狭く、さらに敷地入口部分にある既存建築物を残す計画であるため、大型の重機を用いることが難しい。木造は大型の重機を必要としないため、施工面からも有意となっている。

4. 安心をもたらす床構造

廊下の先に広がる共同生活室

上階の音は下階に伝わりやすいため、お年寄りが転倒する音が聞こえ、夜間などは下の階の職員が迅速に駆け付けることが出来る。また、夜勤時は上下の階に1人しか職員がいないため、孤独を感じやすいが、音が伝わることで「一人ではない」という安心感にも繋がっている。

施設概要

社会福祉法人福岡ひかり福祉会は、利用者の重度化に伴い、住まいの整備が急務の課題となり、在宅での生活が困難となった人に対する住まいとして特別養護老人ホームの整備を行っている。
保健福祉局からの地域連携防災避難体制づくりの要望と、消防局からの防火性能と避難安全検証法による検証の2つの要求をクリアし、福岡市内で第一号となる二階建て木造準耐火建築物の特養となっている。

木造・木質化の特徴。

景観の調和

既存の敷地の中に溶け込むように、既存建築物に高さを合わせて設計している。

既存木造建築物の活用

敷地全体に拡がっていた木造民家の一部を残し、カフェとして活用している。

柱による空間の分節

軸組工法による柱が、空間をゆるやかに分節している。ひとつの部屋で複数の活動を行うことができる。

空調機の目隠し

床下に設置された空調機は、壁掛けエアコンを床下に噴き出して空気床下冷暖房としており、効果を実感する声が聞かれる。

畳の床に座る

床座により体勢を横にするといった豊かな姿勢をとること、車いすに乗ることが出来ない人も這って移動することが出来る。

杉材のフローリング

床のメンテナンスは植物系塗料の塗布のみとしている。傷や素足で使う事による汚れも「味」と考えている。

木造化によるメリット

特殊な敷地形状を踏まえた施工の容易さや、建設費の面からも木造を採用している。既存木造建築物の一部を残して古民家カフェとして活用するなど、新旧の木造建築物が敷地の中でうまく溶け込んでいる。
認知症の利用者も落ち着いた生活をしており、木を使った環境がケアの軽減化にもつながっている。

施設写真・図面集

よりあいの森(左)と既存木造建築物(右)
ウッドデッキ空間は催しの場としても活用されている
よりあいの森のウッドデッキは、古民家カフェと連続した設計となっている